健康維持や筋力アップに欠かせない男性ホルモン「テストステロン」。
このテストステロンを増やすためにはランニングが効果的とされていますが、実際にどれくらいの時間走ればいいのかは意外と曖昧です。
本記事では最新の研究や専門家の見解をもとに、テストステロンを高めるための最適なランニング時間やその根拠、時間帯、頻度、過剰運動のリスクについて詳しく解説します。
目次
ランニングでテストステロンを増やすにはどのくらいの時間が必要?
ランニングはテストステロン分泌システムを活性化すると言われますが、実際には運動直後に一時的な増加が起こります。
ある研究では、運動後30分以内に血中テストステロン値が一過性に上昇することが示されています。
これらのデータからは、走ることでテストステロンは短期間しか増加しないものの、定期的に運動を続ければホルモンレベルの維持・増加に役立つと考えられます。
テストステロンは運動後30分以内に増加
ランニングなどの有酸素運動では、一過性ですがテストステロン値が上昇します。
実際、ある研究では運動後30分以内に血中テストステロンが上昇したことが報告されています。
運動直後の爽快感は、このテストステロンの一時的な上昇によって引き起こされるドーパミン増加の影響もあると考えられています。
ただしこの増加は一時的なもので、時間経過とともに徐々に元のレベルまで下がっていきます。
30〜45分程度のランニングが最適
テストステロンを効率よく増加させるには、1回のランニングで30〜45分程度の継続的な運動が目安とされています。
この時間は心拍数を適度に上げながら持続でき、筋肉への刺激や脂肪燃焼効果も高められるためです。
実際、研究でも1回40分間の中〜高強度ランニングで血中テストステロンが約30%以上上昇した例があります。
このように30分を超えるランニングによってテストステロン分泌系が活性化しますが、1時間以上の長時間走る頻度を増やすと、ストレスホルモンのコルチゾールが優位になりやすくなる点には注意しましょう。
長時間ランニング(60分以上)のデメリット
60分を超えるような長時間ランニングでは、身体のストレスが大きくなりコルチゾールが過剰に分泌する可能性があります。
コルチゾールが優位になるとテストステロン分泌は抑えられ、筋肉合成が妨げられることがあります。
特にフルマラソンのような極端なトレーニングを頻繁に行う際は、十分な栄養補給や休養を確保してホルモンバランスの乱れを防ぐことが重要です。
過度な長時間走は健康リスクも高めるため、テストステロンを増加させる目的では60分以内のランニングを心がけましょう。
テストステロン増加に適したランニングの時間帯
テストステロンには概日リズム(サーカディアンリズム)があり、一般的に朝に最も高く分泌される傾向があります。
そのため、朝にランニングを行うと高いテストステロン分泌量をうまく活用できます。
一方、夕方以降はテストステロン濃度が低下する時間帯ですが、体温や運動能力がピークになるため脂肪燃焼効率は高まります。
適切なタイミングを選んで運動することでホルモン面と運動面の両方で効果を得られます。
| 時間帯 | 特徴と効果 |
|---|---|
| 早朝 | テストステロン濃度がもっとも高い時間帯。脂肪燃焼効果もアップ。 |
| 昼間 | 体温と代謝が上げる時間帯。テストステロンはやや低下> するが、集中力や運動効率が良くなる。 |
| 夕方 | 筋力と持久力が最も高くなる時間帯。テストステロンは低下しているが、重めの運動に適す。 |
| 夜間 | コルチゾールが上がりやすく、睡眠の質に影響が出る恐れ。寝る前の激しい運動は控えるのが望ましい。 |
テストステロンは朝にピークを迎える
テストステロンは概日リズムに従い、一般的に朝方に最も高値になります。
寝起き直後はテストステロン値が高いため、このタイミングで軽いランニングをすることでホルモン分泌を後押しできます。
朝ランニングは特にテストステロンを維持しやすい時間帯なので、余裕のある方は早起きして走るのも効果的です。
朝ランニングのメリット:ホルモンバランス調整
朝の運動は、日中に高まるコルチゾール(ストレスホルモン)を適度に調整しやすいという利点もあります。
朝はもともとコルチゾール値が高い時間帯ですが、ランニングにより過剰なコルチゾール上昇を抑制できれば、テストステロンとドーパミンの分泌をうまく促進できます。
結果的に朝ラン後は活力が高まり、日中の集中力や気分の安定が向上するケースが期待できます。
夜ランニングの注意点:コルチゾールの影響
夕方以降の運動では、コルチゾールレベルが高いまま推移しやすいため、睡眠の質に影響が出る場合があります。
テストステロンは睡眠中(特に深夜から明け方)に活発に分泌されるため、遅い時間に激しい運動を行うとこの分泌機会を逃す恐れがあります。
そのため、夜にランニングする場合でも就寝の2時間前までには終えるなど、睡眠時間を確保できるスケジュールにしましょう。
テストステロン維持のためのランニング頻度と強度
テストステロンを増加させるには、運動の頻度や強度を継続しやすいレベルに抑えることが大切です。
ランニングの場合、毎回極端に負荷をかけるよりは、週あたりの総運動時間と強度のバランスを守るのが効果的です。
以下では、継続しやすい頻度や強度の目安、そして筋トレとの組み合わせについて解説します。
週2〜3回の適切な頻度で継続する
テストステロンを安定的に増やすには、週2~3回程度のランニングが一般的な目安です。
一定の頻度で運動することで、ホルモン分泌を継続的に刺激できます。ただし走り過ぎると疲労が蓄積し、疲労ホルモンが増えるリスクがあります。
無理なくジョギングやスローペースのランニングを取り入れ、週2~3回を目標に継続しやすい習慣をつくりましょう。
運動強度は無理のないレベルで
日常的なランニングでは、なるべく強度を抑えた運動を心掛けましょう。
「会話ができる程度のややきついペース」(軽く息が上がる程度)で走り続ける有酸素運動は、コルチゾールの過剰分泌を防ぎつつテストステロン分泌を促しやすいと言われます。
逆に極端に早いペースや長時間インターバルを繰り返すとオーバートレーニングとなり、ホルモンバランスを崩す原因となるため避けてください。
ジョギングと筋トレの組み合わせも有効
テストステロンは筋肉量と深い関わりがあるホルモンです。
そのためランニングに加えて適度な筋力トレーニングを取り入れると、相乗的にテストステロン分泌をサポートできます。
特にスクワットやデッドリフトなど下半身の大きな筋肉を動員するトレーニングは効果的です。
走るだけに偏らず、軽いウェイトや自体重でのトレーニングを組み合わせることで、より効果的にホルモンを活用できます。
走り過ぎがテストステロンに及ぼす影響
ランニングは適度に行えばテストステロン分泌を促進しますが、やり過ぎると逆効果になることもあります。
特にトレーニング量が過剰になるとストレスホルモンのコルチゾールが増え、テストステロンが抑制されやすくなります。
ここでは運動過多によるデメリットや、適切な運動量の目安を解説します。
過剰なランニングはコルチゾールを増加させる
長時間のランニングや短期間で頻繁に走り込むと、身体はストレス状態と判断しコルチゾールを過剰に分泌します。
コルチゾールが高い状態が続くと、筋肉中のテストステロン受容体が疲労し、結果としてテストステロンの効果が弱まる恐れがあります。
過剰な走行量は免疫力の低下や怪我の原因にもなるため、疲労感や睡眠の乱れが出たらすぐに休息をとりましょう。
月間走行距離120kmが目安
実際に市民ランナーを対象にした調査では、月間走行距離がおよそ120kmを超えるあたりでテストステロン値が低下し始める傾向が見られました。
専門家によると、月120km程度の運動量がテストステロン増加に適した上限とされています。
それ以上長距離を走れば心血管リスクの増加も報告されているため、テストステロンの観点からも「ほどほどの運動量」を守ることが重要です。
休養と栄養でホルモンバランスを整える
過度な運動を控えるとともに、十分な休息と栄養補給もテストステロン維持には欠かせません。
特に睡眠はテストステロンが最も多く分泌される時間帯と直結するため、毎晩十分な睡眠時間を確保しましょう。
また、たんぱく質やビタミンD、亜鉛などホルモン合成に必要な栄養素を食事でしっかり補給することも大切です。
休養日を設けて身体を回復させ、バランスの取れた食事を心掛けてホルモンバランスをサポートしましょう。
まとめ
ランニングは適切な時間・強度で続ければ、テストステロン分泌を促進する効果が期待できます。
ポイントは1回30~45分程度の中強度ランニングを週2~3回行うことです。朝のテストステロンピーク時に走るとホルモンをより有効活用できます。
一方で、60分以上の長時間走や月120kmを超える過剰な運動は、コルチゾールを増やしてテストステロンを抑制する可能性があります。
休養と栄養補給も忘れずに、「ほどほど」の運動習慣でテストステロン増加につながる健康的な身体づくりを心掛けましょう。
- 30~45分の中強度ランニングを週2~3回行う。
- 朝のテストステロンピークを活かし、早朝ランも取り入れる。
- 60分以上の長時間走は避ける。
- 十分な休息とたんぱく質・栄養を摂取し、ホルモンバランスを保つ。
コメント